顕微鏡 第44巻▶第3号 2009
■講座

X線マイクロトモグラフィー

戸田裕之a,小林正和a,鈴木芳生b,竹内晃久b,上杉健太朗b

a豊橋技術科学大学生産システム工学系
b高輝度光科学研究センター

要旨:シンクロトロン放射光による高分解能X線トモグラフィーを念頭に,X線の吸収や屈折を利用するX線イメージングの基礎的な事項,三次元画像再構成の原理,画像のS/N比などについて詳述する.また,第三世代の大型放射光施設であるSPring-8で現在利用できるX線トモグラフィーのセットアップについて,検出器やシンチレーターの特性も含めて紹介する.これらに加え,筆者らの研究事例など,各種応用研究の現状についても簡潔に触れる.本稿では,高い空間分解能が応用研究の鍵となることに鑑み,空間分解能を本質的に規定するサンプリングの考え方をはじめ,結像光学のための光学素子,検出器系やその他の各種因子など,様々な観点から空間分解能を考えていく.これは,X線の上流から下流に至る様々な因子が複雑に重畳し,X線トモグラフィーで得られる画像の空間分解能が規定されるためである.

キーワード:トモグラフィー,X線,シンクロトロン放射光,歪計測,元素分析

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