顕微鏡 第45巻▶第1号 2010
■特集:アジア若手の研究から

国立台湾大学における電子エネルギー損失分光の最近の進展:ナノ材料におけるプラズモニクスと表面共鳴現象への応用

朱明文,陳正弦

Scanning Transmission Electron Microscopy Laboratory, Center for Condensed Matter Sciences, National Taiwan University

要旨:国立台湾大学における走査透過電子顕微鏡(STEM)研究室は台湾における最初の電子エネルギー損失分光(EELS)を専門とする代表的機関である.我々の過去五年間の多くの努力の結果,STEMとEELSの併用,STEM-EELS法の発展をもたらし,ナノメートルスケールの空間分解能を持つ電子状態分析が可能となった.このSTEM-EELSの組み合わせを用いて,プラズモニクスとしてよく知られている表面プラズモンの極めて興味深い性質を,金ナノ粒子一個一個を区別して明らかにし,更に過去あまり取り上げられることの無かった一種の表面励起である表面励起子ポラリトンを再検討した.この記事で議論するように,STEM-EELSはナノ分析において不可欠なだけでなく,まだ予期せぬ物理現象に遭遇することのできる道でもある.

キーワード:走査透過電子顕微鏡,電子エネルギー損失分光法,表面プラズモン,表面励起子ポラリトン,金ナノ粒子

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