顕微鏡 第46巻▶第1号 2011
■講座

走査型共焦点電子顕微鏡法の開発

竹口雅樹a,橋本綾子a,三石和貴a,下条雅幸b

a(独)物質・材料研究機構
b埼玉工業大学

要旨:走査型共焦点電子顕微鏡法(SCEM)は,(S)TEM観察において深さ分解能を向上させる事により,試料の3次元構造・断層像の高分解能観察ができる可能性を有していることから注目を集めている.本研究で,我々はSCEMを実現するための要素技術である3D試料走査ステージと円環暗視野(ADF)共焦点結像光学系を開発し,市販の透過型電子顕微鏡JEM-2100Fを用いた実験において100nm以下の深さ分解能での断層観察を行った.そして初めてSCEMによる3次元再構築を得た.また照射・結像両レンズ系に収差補正機能を備えた装置JEM-2200MCOを用いてADF-SCEMの実験を行い,約20nmの深さ分解能を達成した.本稿ではこれらの例とともにADF-SCEMの原理と概要について簡単に紹介する.

キーワード:走査型共焦点電子顕微鏡法,円環暗視野,深さ分解能,断層観察

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