顕微鏡 第46巻▶第4号 2011
■特集:体性感覚研究の進展

アトピー性皮膚炎と皮膚感覚受容器

加茂敦子,冨永光俊a,b,高森建二a,c

順天堂大学大学院医学研究科環境医学研究所
Department of Neurobiology, Physiology and Behavior, University of California, Davis
順天堂大学医学部附属浦安病院院長

要旨:アトピー性皮膚炎(AD)に認められる痒みは強い掻破行動を引き起こし,さらに湿疹を増悪させる.したがって,ADの治療において痒みの制御は非常に重要であるが,代表的な止痒薬である抗ヒスタミン薬が有効でないことが多い.さらに,ADでは皮膚感覚異常ともいえる症状が存在し,痒みのコントロールを困難にしている.本稿では,ADに認められる難治性痒みに着目し,感覚受容器としての皮膚の関与について概説する.

キーワード:アトピー性皮膚炎,表皮角化細胞,知覚神経,ヒスタミン,難治性痒み

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