顕微鏡 第48巻▶第2号 2013
■講座

応力・歪み場走査型プローブ顕微鏡の開発と応用

藤田大介

(独)物質・材料研究機構先端的共通技術部門

要旨:表面におけるアクティブナノ計測技術として,超高真空場,昇温場かつ外部から印加された応力・歪み場における原子分解能の二探針走査型プローブ顕微鏡を開発した.外部からの応力場印加は,短冊状試料に対して石英の楔形ジグにて中央部分に上方変位を与えることにより実現し,一軸性の引張応力を試料表面に発生させることができる.また,試料の昇温制御により,降伏限界以下で弾性的な歪を与えることができる.STMモードでの昇温かつ応力印加時における原子分解能イメージングを初めて実現した.さらに,自己検出カンチレバーセンサーを用いた周波数変調方式の非接触原子間力顕微鏡モードによる原子分解能計測を実現した.応用としては,Si(001)表面構造における一軸性引張応力の効果により,ダブルドメイン構造におけるドメイン被覆率制御の実現とともにダイナミクスを明らかにした.

キーワード:走査型プローブ顕微鏡,表面応力,表面歪み,超高真空,原子分解能

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