顕微鏡 第49巻▶第3号 2014
■解説

SEMによるミトコンドリアネットワーク構造の可視化

名黒知徳,中根裕信,稲賀すみれ,亀家俊夫,海藤俊行

鳥取大学医学部解剖学講座

要旨:ラット嗅球の顆粒細胞に存在するネットワーク状に連結したミトコンドリアの三次元構造を走査電顕で調査・検討した.多様な形態を示すミトコンドリアのネットワークを形態的特徴によって4グループに分類した.タイプ1:ほぼ均一な太さ(約250–300 nm)の分岐した細管で構成される.タイプ2:異なる2種類の太さ(約250–300 nmと約100 nm)の細管で構成される.タイプ3:球状の部分(直径約1.0 μm)と糸状の部分(太さ約50 nm)で構成され数珠状を呈する.タイプ4:多様な形の複数の部分で構成される.光学顕微鏡や透過電子顕微鏡で観察されたミトコンドリアのネットワークに関する最近の研究を紹介し,ネットワークの形態的多様性と機能的意義について考察するとともに,走査電顕での研究方法の利点と欠点を解説した.

キーワード:ミトコンドリア,顆粒細胞,嗅球,電子顕微鏡,走査電顕

本文PDF