顕微鏡 第50巻▶第1号 2015
■解説

形態科学を基盤とした遺伝子発現解析法
in situ hybridization法を中心に―

日野真一郎,Narantsog Choijookhuu,菱川善隆

宮崎大学医学部解剖学講座組織細胞化学分野

要旨:遺伝子が持つ本来の役割を知るためには,転写レベルでの調節,翻訳レベルでの調節,分解速度,細胞内局在を個々の細胞で見極めることが重要であり,タンパク質および核酸の両者の発現動態を総合的に検討することが不可欠である.これらを検出する方法として,免疫組織化学は抗原抗体反応を用いて細胞内におけるタンパク質の発現や局在を検出するものであり,in situ hybridization法は組織切片上で特異的な塩基配列を持つ核酸分子を視覚化することにより,個々の細胞レベルのin situ(本来存在する場所)で検出する方法ある.本解説では,in situ hybridization法に焦点を絞り,mRNAを可視化する必要性と基本原理を述べた後に,評価の仕方と応用例について説明する.

キーワード:遺伝子発現,in situ hybridization,免疫組織化学,タンパク質,mRNA

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