JSM日本顕微鏡学会

学会活動

技術認定試験
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電子顕微鏡技術認定試験問題

2000年度 電子顕微鏡技術認定試験問題 特殊技術 I (生物)

12題の問題の内、問1〜問6(必須問題)はすべて解答し、問7〜問12(選択問題)は4問を選んで解答せよ.なお、選択しなかった問の解答欄には×印を記入せよ.
【生物必須問題】
問1.薄切に関する次の各設問に答えよ.
(10点)1)エポキシ樹脂包埋切片を100 kVで観察する時の一般的な厚さを記せ.
2)1)の厚さにする理由を一つ述べよ.
3)免疫染色のためにアクリル系樹脂に包埋した試料の切片では、グリッドにはあらかじめ支持膜を張って用いることが多い.その理由を一つ述べよ.
4)凍結超薄切片作製時に、最も注意を要する作業過程を述べよ.
5)ダイヤモンドナイフの利点を述べよ.
問2.樹脂切片の高倍撮影に関する次の各設問に答えよ.(10点)
1)ドリフト対策として試料作製の過程で注意すべきことを5つ挙げよ.
2)観察・撮影時に試料損傷を引き起こさない電顕操作法・撮影法を5つ挙げよ.
問3.鉛染色液を一つ挙げ、その成分と特徴を述べよ.(10点)
問4.下記の文章を読み各設問に答えよ.(10点)
生物試料を氷晶による変形なしに凍結するにはいくつかの異なった方法がある.  (1)  法は  (2)  などの冷媒により冷却した  (3)  などの熱伝導率のよい金属ブロック表面に試料を圧着し凍結する方法である.  (4)  法は  (5)  など融点・沸点間の温度差が大きい冷媒に直接試料を投入し凍結する方法である.また、近年話題となっている高圧凍結法は、高圧下では水の融点が下がり、水の粘性も高くなることで氷晶の成長が抑制できることを利用した凍結方法である.これらの凍結法はそれぞれの長所と短所を知ったうえで使うことが望ましい.
設問
1)文中の(1)から(5)に当てはまる語句を解答欄に記入せよ.
2)(1)の凍結法の場合、解答欄に記入した(2)、(3)を使用したとして、良好な凍結が得られる深さは試料表面からどの程度までか.
3)(4)の凍結法の場合、なぜ融点・沸点間の温度差の大きい冷媒が用いられるのか.その理由を述べよ.
問5.免疫電顕法の包埋後染色法(post-embedding method)によって免疫染色を行う場合、低温重合包埋剤を用いる.
その長所と短所を述べよ.(10点)
問6.走査電顕観察中に試料に発生する帯電について、次の各設問に答えよ.(10点)
1)チャージアップが観察像に与える影響を4つ挙げよ.
2)チャージアップの発生によって観察像に影響する要因を2つ述べよ.

【生物選択問題】
<動物選択問題>
問7.血球など浮遊状態にある細胞を超薄切片法で観察したい.その試料作製法を一つ挙げ、その手順を箇条書きで述べよ.(10点)
問8.プラスチックシャーレで培養した細胞について、免疫電顕法で抗原Xを検出したい.その手順を箇条書きで述べよ.(10点)
<植物選択問題>
問9.図は葉緑体内部のピレノイド構造に局在するタンパク質の免疫電顕像である.次の各設問に答えよ. (10 点)
1)このタンパク質の名称は何か.
2)タンパク質の働きを述べよ.
3)免疫電顕像からピレノイド構造の役割について述べよ.
4)ピレノイド構造はどのような生物にみられるか.

2000年度電子顕微鏡学会技術認定試験問題特殊I(問9)

問10.次の1)〜4)は植物組織に特有な構造が原因でアーティファクトなどが引き起こされると考えられている.それらの構造、原因となる理由、その対策を述べよ.(10点)
1) 固定時に細胞が破壊されやすい.
2) 固定液が組織に浸透しにくい.
3) 薄切時に包埋ブロックから試料が剥離しやすい.
4) 観察時に切片が破れやすい.
<微生物選択問題>
問11.ウイルスの懸濁液を用いて、ウイルス粒子の構造を明らかにしたい.次の各設問に答えよ.(10点)
1)ネガティブ染色法による試料作製の手順を述べよ.
2)超薄切片法に比べてネガティブ染色法が有利である点を述べよ.
問12.図Aと図Bはカンジダ細胞の超薄切片像である.次の各設問に答えよ.(10点)
1)(1)〜(4)の構造の名称を記せ.
2)(2)について図Aと図Bを比較し、それらの構造の違いを述べよ.
3)後固定にはどのような固定液を用いたと考えられるか.
4)3)の固定液の長所と短所を述べよ.

2000年度電子顕微鏡学会技術認定試験問題特殊I(問12)

一般生物特殊技術 I特殊技術 II

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