JSM日本顕微鏡学会

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技術認定試験
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電子顕微鏡技術認定試験問題

2000年度 電子顕微鏡技術認定試験問題 特殊技術 II (鏡体・共通技術)

以下の13題の問題のうち問1〜問7は必須問題,問8〜問13は選択問題である.問1〜問7は全問解答し,問8〜問13はその中から3問を選んで解答せよ.なお,選択しなかった問の解答欄には×印を記入せよ.
【必須問題】
問1.対物・中間・投射の3段拡大レンズ系を有する透過電子顕微鏡において,対物レンズから試料までの距離を3 mm,対物レンズの像面までの距離を150 mmとする.また,中間レンズからその物面(すなわち対物レンズの像面)および像面までの距離をそれぞれ20mm,100mmとする.投射レンズの倍率は固定で100倍として,次の各設問に答えよ.(10点)
1)総合倍率を求めよ
2)対物レンズの焦点距離を四捨五入して小数点以下1桁まで求めよ.(計算法と答を記入せよ)
問2.透過電子顕微鏡で以下のような操作をしたとき,像のコントラストはどのように変化するか.弱くなる,変わらない,強くなるで答え,その理由も述べよ.図を用いてもよい.(10点)
1)加速電圧を80 kVから100 kVにした.
2)対物レンズ可動絞りを小さくした
問3.単結晶試料,多結晶試料およびアモルファス試料から得られる電子回折パターンの違いを述べよ.(10点)
問4.油回転ポンプ(RP)と油拡散ポンプ(DP)についての各設問に答えよ.(10点)
1)RPの油の劣化が進むとDPにどのような影響を及ぼすか.
2)RPには直結高速回転型と回転ベルトを用いる低速型がある.それぞれにおける油交換は通常どのくらいの頻度で行うべきか.解答欄の正しい数値を丸で囲め.
直結高速回転型   6ヶ月   12ヶ月   24ヶ月
回転ベルト式低速型   6ヶ月   12ヶ月   24ヶ月
3)オイルミストトラップを用いる理由は何か.
問5.真空蒸着装置を用いてコーティングしたい.必要な蒸着量Mgは蒸発金属の密度をd g/cm3,蒸発源(ヘヤピン形)と試料間の直線距離r=10cm,蒸着したい膜厚をtnm,シャドウイングアングルθを45゜,Cp=0.9をヘヤピン型フィラメントの蒸着量補正値とすれば,以下の式で求めることができる.この式を用いて,t=2 nm,蒸発金属をAu/Pd合金(密度d=16.1g/cm3)としたときの必要な蒸着量Mをmgの単位(小数点以下1桁)で求めよ.(10点)
問6.線分解能(本の線として識別できる最小の間隔)が6µmの電顕フィルム(微粒子フィルム)を用いて0.2nmの格子像を撮影するには,直接倍率は何倍以上必要か.(計算法も示せ)(10点)
問7.走査電子顕微鏡の2次電子による像の主なコントラストには,傾斜効果,エッジ効果,加速電圧効果,原子番号効果がある.それぞれについて説明せよ.(10点)
問8.D下図のように試料Sを対物レンズOから6mmの位置に置く.対物レンズの焦点距離fは4mmとする.直径120μmの対物絞りを後焦点面の光軸上に配置した時,取り込むことのできる散乱波の最大角度θは何mrad(ミリラッド)か.(計算法も示せ)(10点)

2000年度日本電子顕微鏡学会技術認定試験特殊II(問8)

問9.下記の1)〜3)は透過電顕像の3種類のコントラストについて記述したものである.それぞれのコントラストの名称を記し,電顕像の具体例を下記の@〜Bから選択してその番号を解答欄に記入せよ.(10点)
1)試料をまっすぐに通過した電子波と試料で曲げられた電子波が,対物レンズ可動絞りを通過した後に干渉して生じたコントラスト.
2)結晶性試料に電子線が入射すると,入射方向と異なる特定方向に強く曲げられる電子がある.この電子が対物レンズ可動絞りで止められて生じたコントラスト.
3)試料に電子線が入射すると,入射方向と異なる方向に試料のmass thickness(質量厚さ,または重量厚さという)に比例して曲げられる電子がある.この電子が対物レンズ可動絞りで止められて生じたコントラスト.

一般生物特殊技術 I特殊技術 II

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