顕微鏡 第43巻▶第3号 2008
■講座

機能を探るQuantum dot multiple staining

伊東丈夫

a東海大学医学部教育・研究支援センター細胞科学部門

要旨:近年,医学・生物学分野においてもナノクリスタルQuantum dot(Qdot)の利点を活用した様々な報告がなされている.Qdotは硫化カドミウム,セレン化カドミウム,塩化銅などの発光性ナノ粒子(直径数nmの半導体素材)のうちセレン化カドミウムからなる新しい蛍光プローブである.利点は,ナノクリスタルの粒子サイズに依存して発光波長が決定されるので,1種類の励起波長で複数の蛍光が得られることである.そしてこの蛍光は,極めて明るく退色が遅いなど卓越した光安定性を示す.ここでは,Qdotとスペクトル解析法(蛍光シグナル間のクロストークや,自家蛍光を除去)を活用した下垂体細胞におけるホルモンとその転写因子の免疫組織細胞化学(多重染色)機能解析への応用について紹介する.

キーワード:免疫組織化学,量子ドット,レーザ共焦点顕微鏡,スペクトル解析,多重シグナル検出

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