顕微鏡 第44巻▶第3号 2009
■講座

膜脂質分子をナノレベルで可視化する

藤田秋一,藤本豊士

a名古屋大学大学院医学系研究科分子細胞学分野

要旨:従来の免疫電顕法では,脂質分子の分布を捉えることは困難であった.急速凍結法とSDS処理凍結割断レプリカ標識(SDS-FRL)法を組み合わせることにより,脂質を物理的に固定し,膜脂質の分布をナノレベルで定量的に解析することが可能になった.空間統計学的な解析を用いることで,膜内での二次元的分布を客観的に判断することもできる.この方法を応用することにより,糖脂質GM1とホスファチジルイノシトール4,5-二燐酸(PI(4,5)P2)の分布について,他の方法では得られない新たな知見を獲得することができた.

キーワード:ホスファチジルイノシトール4,5-二燐酸,GM1,フリーズフラクチャー,膜脂質

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