顕微鏡 第46巻▶第3号 2011
■解説

バイオイメージング技術を用いた腎内微小循環,血管透過性変化の解析

柏原直樹,桑原篤憲,長洲一,小林伸哉,春名克祐,佐藤稔

川崎医科大学腎臓・高血圧内科学

要旨:高血圧,糖尿病,メタボリックシンドローム,肥満等の生活習慣病患者において,アルブミン尿の出現が,腎不全のみならず,脳卒中,虚血性心疾患などの心血管病と深く関連している.生活習慣病における腎障害(慢性腎臓病:CKD)の発症・進展の共通基盤は,糸球体血行動態変化(過剰濾過,糸球体高血圧),と血管内皮機能異常である.2-フォトンレーザー顕微鏡を用いた最新のイメージング技術を駆使することで,生体動物において腎内微小循環動態と糸球体係蹄壁の透過性変化をリアルタイムで可視化することに成功した.さらに一酸化窒素(NO)と酸化ストレスを組織上で可視化しえた.これらの技術は,腎臓のみならず,他の臓器障害の基盤病態を解明する上でも大きく貢献しうるものとして期待される.

キーワード:2-フォトンレーザー顕微鏡,アルブミン尿,グライコカリックス,一酸化窒素

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