顕微鏡 第47巻▶第1号 2012
■解説

免疫応答を現場で見る

松野健二郎,上田祐司

獨協医科大学解剖学マクロ講座

要旨:リンパ節などの免疫臓器は高度に組織化された美しい構造を持っている.そこでは,病原体や異常細胞が体内に出現した時,適切な免疫応答が最も効率的におこり,異物を排除してわれわれの体を守ってくれている.本稿では接着分子,細胞分裂や抗体などの機能分子,細胞マーカーと組織骨組み等を特異的に染色する多重免疫染色法を用いて,in situ,切片レベルでtrafficking(免疫細胞の棲み分けと動態)の実態やクラスター形成・増殖性応答などの細胞間相互作用を含む免疫応答の現場を示した.本手法は,現場を見ることにより真実に迫る解析ができるので,多くの未解明の病態究明の糸口を発見する可能性を持っている.

キーワード:多重免疫染色,リンパ節,免疫細胞の細胞交通,クラスター形成と抗原提示,GvH病

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