顕微鏡 第47巻▶第4号 2012
■発生過程における細胞移動のライブイメージング解析

トランスジェニックウズラ胚を用いた血管のタイムラプス観察

佐藤有紀

熊本大学大学院先導機構発生再生医学分野

要旨:血管は,生体機能の維持にとって欠くことのできない非常に重要な器官である.胚発生期においても,心血管系は最初に機能を開始し,胚発生の維持に必須の役割を果たす.血管は機能的なネットワークを作りながらも,胚の成長にあわせて走行パターンを変化させていく.筆者は,血管ネットワークがどのような個々の血管内皮細胞の動きによって形成され,またどのようにして胚の成長に対応するのかを解明するため,トランスジェニックウズラTie1:H2B::EYFP胚のタイムラプス観察を行ってきた.このウズラ胚を用いれば,からだの三次元的構造の中での血管形成の様子をタイムラプス観察できることから,高等脊椎動物の血管イメージングモデルとして今後の貢献が期待される.本稿では,Tie1:H2B::EYFP胚のタイムラプス観察結果をもとに,羊膜類胚において血管形成がどのような血管内皮細胞の挙動によって支えられているのかを紹介する.

キーワード:血管,トランスジェニックウズラ胚,タイムラプス観察

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