顕微鏡 第47巻▶第4号 2012
■最近の研究と技術

超解像顕微鏡の技術と応用

及川義朗

(株)ニコンインステック バイオサイエンス営業本部 アプリケーション技術部

要旨:光学顕微鏡の解像度は光の回折限界によりおよそ200 nmである.近年,この限界を超えるべく新技術が開発され,実際の顕微鏡に適用されて製品となり,超解像顕微鏡と呼ばれている.その一つ「構造化照明法」は,周期構造をもった「縞模様」の照明にすることで,モアレ効果を利用して従来捕らえられなかった回折光を取り込み,解析により超解像画像を得る技術であり,解像度は水平方向,Z軸方向とも従来顕微鏡の約2倍,また時間分解能も1枚1秒程度を実現した.もうひとつの技術「ローカリゼーション法」は,1分子ごとに離散して蛍光を発するように工夫した標本で,1画面あたり100ポイント程度の点の画像をとって重心を記録することを数千回以上繰り返し,点像の集合として超解像画像を生成する方法である.この技術により,空間分解能は水平方向,Z軸方向とも従来顕微鏡の約10倍の解像度を実現した.本稿ではこれらの技術を紹介する.

キーワード:回折限界,超解像顕微鏡,構造化照明法,ローカリゼーション法

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