顕微鏡 第48巻▶第2号 2013
■特集:細胞骨格イメージング

クラミドモナスを用いた鞭毛運動の多角的解析
―電子顕微鏡から細胞生物学まで―

小田賢幸,吉川雅英

東京大学大学院医学系研究科 細胞生物学・解剖学講座 生体構造学分野

要旨:鞭毛は多くの真核生物が持つ精巧な細胞小器官である.鞭毛の動きは多くの鞭毛タンパク質によって制御されているが,その複雑な機構は個々の分子を機能解析しただけでは捉えることができなかった.緑藻のクラミドモナスは長きに渡る研究の積み重ねにより,生化学,遺伝学,細胞生物学および構造生物学的手法によって鞭毛運動を追究することができる稀有なモデル生物である.私たちはこのクラミドモナスを用いて,鞭毛運動を駆動する分子モーターであるダイニンの制御機構を明らかにした.

キーワード:鞭毛,クライオ電子顕微鏡,ダイニン,トモグラフィー

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