顕微鏡 第51巻▶第1号 2016
■特集:細胞内および細胞間輸送の最新知見

摂食受容体MCHR1におけるインターナリゼーション機構

濱本明恵a,b,蜜山聖夏,小林勇喜,斎藤祐見子

広島大学大学院総合科学研究科 生命科学領域
現所属 久留米大学分子生命科学研究所 遺伝情報研究部門

要旨:G蛋白質共役型受容体(GPCR)は細胞膜7回貫通型の蛋白質であり,創薬標的として頻繁に利用されている.特異的リガンドがGPCRに結合すると,細胞内でG蛋白質と受容体が共役することで各種シグナル(cAMP量の増減,Ca2+上昇,キナーゼ亢進など)を生じる.この活性化の減衰機構の1つがインターナリゼーション過程であり,過剰な応答を生じさせないための生体防御と考えられている.すなわち,リガンド結合により活性化した各種キナーゼによりGPCR自身がリン酸化され,そのリン酸化部位へβアレスチンを含めたアダプター蛋白質が結合することによりGPCRは膜から細胞内部へと移行(インターナリゼーション)する.GPCRの中でもメラニン凝集ホルモン(MCH)の受容体MCHR1は摂食・情動に対して重要な役割を担うことが知られている.そこで,本稿ではまず,GPCRの基本的なインターナリゼーション機構について述べ,次にMCHR1におけるインターナリゼーションに関する最新知見を紹介する.

キーワード:G蛋白質共役型受容体(GPCR),インターナリゼーション,リン酸化,メラニン凝集ホルモン(MCH),摂食

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