顕微鏡 第53巻▶第1号 2018
■解説

骨組織の顕微鏡研究

飯村忠浩a,b,c,李智媛

愛媛大学プロテオサイエンスセンター・バイオイメージング部門
愛媛大学学術支援センター・病態機能解析部門
愛媛大学大学院医学系研究科

要旨:骨は,歯とともに硬組織に分類され,文字どおり生体中で最も硬い組織である.しかしながら,我々の骨は,形成と吸収のバランスを保ってダイナミックに維持されている.こういった骨代謝の調節によって生体の骨格形態とミネラルバランスは維持され,このバランスが壊れると病的状態となる.骨代謝の調節は,骨の微細形態に影響を与えるため,顕微鏡による骨の観察は,骨代謝調節研究や骨の病態把握に重要な位置を占めてきた.近年,超解像顕微鏡の開発をはじめ光学顕微鏡の技術革新は著しい.本稿では,我々の最近の研究成果をもとに,高コントラスト微分干渉法やデコンボリューション法を応用した骨組織観察法,超解像顕微鏡(構造化照明法)を用いた破骨細胞の構造・機能解析について紹介する.

キーワード:骨代謝,破骨細胞,微分干渉,デコンボリューション,構造化照明法