顕微鏡 第53巻▶第3号 2018
■講座

SEMとSTEMの分解能理論

佐藤貢

株式会社日立ハイテクノロジーズ

要旨:走査透過電子顕微鏡(STEM)において,1982年にCreweとSalzmanが示したSTEMの分解能と最適ビーム開き角の式が知られている.このビーム開き角は,光学像の統計的平均情報量が最大となる光学条件から導かれる.本稿では,Shannonの情報理論から光学像の統計的平均情報量が導かれる過程,および球面収差を伴う光学系の最適ビーム開き角が導かれる過程を示す.また,光学像(SEM像,STEM像)の情報量から分解能を定義し,球面収差,色収差,電子源輝度を考慮した電子光学系(SEM,STEM)の分解能計算法を説明する.

キーワード:STEM,SEM,情報量,分解能,最適条件