位相コントラストSTEM

箕田弘喜

東京農工大学

要旨：軽元素で構成されている生物分子は，電子との相互作用が小さく，TEMで高いコントラストが得られないため，デフォーカスにより，分解能を犠牲にして位相コントラストを向上させている．正焦点条件で，分解能を損なわずに位相コントラストを向上させるための方法として，我々は，位相差走査型透過電子顕微鏡（P-STEM）法を開発した．本稿では，その結像原理とその応用例について紹介する．

キーワード：位相差顕微鏡法，STEM，位相コントラスト