JSM日本顕微鏡学会

Q&A誰か教えて!

高分解能電顕関連

質問1
フォーカスをジャストフォーカスをはさんで、アンダーからオーバーへ変化させると、フォーカスのステップ毎に、観察される格子像が変化しますが、これは、観察している結晶の違う断面を観察していると考えてもよろしいのでしょうか?(この現象から得られる情報は?)
A1
例えば、シリコンの(111)格子縞だけが出ている場合、フォーカスが変化すると、格子縞の位置が変わるだけです。像に複数の格子縞が出ている場合は、フォーカスを変えるとAの格子縞が出たり、Bの格子縞が出たりします。これは対物レンズの伝達関数の働きで、“選択結像”がされると言っても良いし、AとBでフーリエイメージの出る位置が違うと行っても良いものです。(名古屋大学、田中信夫会員)

質問2
格子像観察を行うにあたり,フォーカスが合っているのかが判断しづらいです。何か,フォーカス調整のポイントがあれば教えて下さい。
A2
格子像のみを見て,フォーカスの状態を知るのは難しいと思います。全問の回答にも書いたように,縞が半周期移動するように見えるだけだからです。フォーカスの状態は試料端のフレネル縞を注意深く見るか,やはり端に着いた非晶質炭素(コンタミ)の粒状性像から判断するのが普通です。非点収差が十分とれた状態で粒状性が一番小さくなったところがジャストフォーカス(△f=0)です。(名古屋大学,田中信夫会員)

質問3
試料損傷について教えて下さい。動的変化を追っているのですが,長時間観察していると対象とする表面が壊れてしまいます。何か改善策はありますか。。
A3
これはもっとも深刻な問題です。高感度カメラを使って暗い像でも撮影できるようにするか,試料の温度を10K(ケルビン)以下にすることしかありません。(名古屋大学,田中信夫会員)

このほか電顕大学の質問回答集には、いろいろな事例が紹介されています。興味がある方はこちらまで。

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