ごあいさつ
日本顕微鏡学会第70回記念学術講演会の開催にあたって
公益社団法人日本顕微鏡学会会長 大野伸一
第70回記念学術講演会 実行委員長 幾原雄一
日本顕微鏡学会第70回記念学術講演会は、来る2014年5月11日(日)~13日(火)、関東地区の幕張メッセ国際会議場において開催されることとなりました。今回は70回目という節目の講演会でもありますし、会員の皆様には是非ご参加いただきますようご案内申し上げます。第70回記念学術講演会 実行委員長 幾原雄一
近年の顕微鏡学は大きな転換期にあります。収差補正技術の普及、ダメージレスな観察手法の開発、その場観察技術の高度化、超高感度カメラ技術、解析ソフトウェアなどの高度化は目覚ましく、現在もその発展の過程にあります。さらにこれらの技術が、材料、物質、生体の解析に応用されつつあり、顕微鏡の応用分野においても革新的な展開がなされています。顕微鏡学はまさに、今後の科学技術の発展にとって益々必要な存在になりつつあります。
一方、本学術講演会は、今回で70回目を迎えました。この記念すべき講演会において、最先端の顕微鏡学の議論に加えて、これまでのこの分野で蓄積されてきた技術も新たな視点で見つめなおすことも肝要であると考えます。このような背景から、今回の学術講演会ではそのテーマを、「顕微鏡学の来し方行く末」としました。このテーマに沿い、プログラム委員会において、装置系・材料系では、「超高分解能イメージングがもたらす新時代 -収差補正電子顕微鏡の最前線-」、「地球惑星物質の顕微観察 -はやぶさ試料から放射能汚染まで-」、「世界結晶年企画:電子顕微鏡による精密結晶構造解析 -高精度化への挑戦-」、生物系では、「医学・病理の研究のために必要な電子顕微鏡技術」、「ナノメートルレベルの新しい光学顕微鏡」、「超高速カメラ技術」などタイムリーな多くのシンポシウムを企画させて頂きました。
顕微鏡学会では国際化に向けた展開も課題になっております。今回は新たな取り組みとして、世界各国から顕微鏡学における第一人者や著名研究者を多数招聘しました。彼らが本学術講演会に参加することで、彼らに、講演、議論、展示会を通じて我国の顕微鏡学会の実情を認識してもらうとともに、学会の国際化の足掛かりになればと願っています。また、今回の学術講演会では、シンポジウム、一般講演をバランスよく織り交ぜることで、タイムリーかつオリジナルな研究発表を同時に取り込むことを意図しました。さらに、恒例の瀬藤賞講演、冠ワークショップ、チュートリアルセッション、企業展示などの場の充実にも努めました。また、会期前日の5月10日(土)には、顕微鏡学の啓蒙普及と発展のために、市民講座を開催いたします。今回は、2011年にノーベル化学賞を受賞されたイスラエル工科大学のダン・シェヒトマン教授、2012年に日本学士院賞を受賞された大阪大学の難波啓一教授の講演会を開催する予定です。講演会には、東日本大震災から立ち直りつつある福島県の高校生を招待するとともに、実際に電子顕微鏡を使って体験するコースも準備しました。
顕微鏡関連分野で活躍しておられる多くの研究者、技術者、学生の皆様がこの第70回記念学術講演会にご参加くださいますことを、実行委員ならびに学会関係者一同、心よりお待ちしております。
主催・事務局
- 主 催:
- 公益社団法人 日本顕微鏡学会
- 会 長:
- 大野 伸一
- 実行委員会:
- 実行委員長 幾原 雄一(東京大学教授)
副実行委員長 吉川 雅英(東京大学教授)
生物系プログラム委員長 吉川 雅英(東京大学)
材料系プログラム委員長 阿部 英司(東京大学)
幹事 柴田 直哉(東京大学)
幹事 溝口 照康(東京大学) - プログラム委員会:
- 材料系プログラム委員
小暮 敏博(東京大学)
溝口 照康(東京大学)
柴田 直哉(東京大学)
近藤 行人(日本電子)
矢口 紀恵(日立ハイテク)
馬場 則男(工学院大学)
中村 吉男(東京工業大学)
今野 豊彦(東北大学)
津田 健治(東北大学)
末永 和知(産業技術総合研究所)
松畑 洋文(産業技術総合研究所)
木本 浩司(物質・材料研究機構)
藤田 大介(物質・材料研究機構)
佐藤 馨(JFEスチール)
田中 信夫(名古屋大学)
平山 司(ファインセラミックスセンター)
生物系プログラム委員
岡部 繁男(東京大学)
小田 賢幸(東京大学)
中野 明彦(東京大学)
大嶋 篤典(名古屋大学)
青山 一弘(日本エフイー・アイ)
神谷 真子(東京大学)
小池 正人(順天堂大学)
会期・会場
[学術講演会]- 会期:
- 2014年5月11日(日)~13日(火)
- 会場:
- 幕張メッセ国際会議場(〒261-0023 千葉市美浜区中瀬2-1)
- セッション(予定):
- 装置系・材料系:
「超高分解能イメージングがもたらす新時代
-収差補正電子顕微鏡の最前線-」
「地球惑星物質の顕微観察 -はやぶさ試料から放射能汚染まで-」
「世界結晶年企画:電子顕微鏡による精密結晶構造解析
-高精度化への挑戦-」ほか
生物系:
「医学・病理の研究のために必要な電子顕微鏡技術」
「ナノメートルレベルの新しい光学顕微鏡」
「超高速カメラ技術」ほか - 招待講演者:
- S. J. Pennycook (Univ. Tennessee, USA)
N. D. Browning (PNNL, USA)
R. E. Dunin-Borkowski (FZ Jülich ER-C, Germany)
Z. Zhang (Zhejiang Univ. China)
X. Q. Pan (Univ. Michigan, USA)
Y. Zhu (BNL, USA)
C. B. Carter (Univ. Connecticut, USA)
K. W. Urban (FZ Jülich, Germany)
L. J. Allen (Univ. Melbourne, Australia)
J. Verbeeck (EMAT, Belgium)
O. L. Krivanek (Nion Co., USA) ほか
- 会期:
- 2014年5月12日(月)
- 会場:
- ホテルニューオータニ幕張・鶴の間
〒261-0021 千葉市美浜区ひび野2-120-3
- 会期:
- 2014年5月10日(土)
- 会場:
- 東京大学・伊藤国際学術研究センター
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 - 講演者:
- ダン・シェヒトマン教授(イスラエル工科大学,2011年ノーベル化学賞)
難波 啓一 教授(大阪大学,2012年恩賜賞・日本学士院賞)