学術講演会の概要

ごあいさつ

日本顕微鏡学会第72回学術講演会の開催にあたって

第72回学術講演会 実行委員長 今野豊彦

 日本顕微鏡学会の学術講演会が2016年6月14日(火)~16日(木)にわたって仙台国際センターにおいて開催されることになりました。会員ならびに一般の皆様には広くご参加いただきますようご案内申し上げます。
 いうまでもなく近年の顕微鏡を取り囲む科学技術の発展には目覚ましいものがあります。走査型透過電子顕微鏡や収差補正技術の急速な進歩は顕微鏡を扱う研究者に新しい境地を拡げてくれました。そして解像度の向上という直接的な効果だけではなく、各種分光法や環境セルなどの波及効果をもたらしています。また様々な形態の走査プローブ型顕微鏡、トモグラフィーやクロスセクショニングによる三次元可視化技術など、「観る技術とその科学」は着実な進歩を遂げており、組織観察に与えるインパクトの大きさは生物・医学系から材料系まで共通したものがあります。
 また、持続可能な社会構築のための環境科学やライフサイエンスの興隆を背景に、たとえば材料系の研究者が対象とする試料も金属やセラミックスから、木材やプラスチックなどのソフトマターはもちろん、歯や骨などに及んでおり、材料系の研究者と生物・医学を扱う研究者との交流は増加する一途です。こういった現実は試料作成の方法から、観るための手法の選択まで、バリアフリーな顕微鏡時代が到来していることを教えてくれているように思います。
 今回、このような背景から講演会のテーマを「垣根を越えた顕微鏡時代に向けて」といたしました。今までは見過ごしていた異分野のポスターやセッションに少し立ち止まるだけでも、新たな発見が生まれてくるのではないでしょうか。このような体験を通して、参加される研究者のみなさまがその深い専門性を活かしつつ、分野を超越した幅広い見地から議論を交わしていただく機会としていただければと思います。
 コミュニケーション手段という観点からも、アジアや欧米の国々からの参加者の皆様に対してこれまで以上にバリアフリーでフレンドリーな講演会となるように努力していく所存です。具体的にはプログラムや発表資料の英語併記化を一層推進し、すべてのセッションにおいて仮に日本語に頼らなくても学術的内容をフォローできるようにいたします。また会場に整っているインターネットのインフラを十分活用し、アブストラクト等をダウンロードできる体制を整えていく所存です。
 顕微鏡に関わる研究者、技術者、学生の皆様はもちろん、関連学界や産業界をはじめとする幅広い皆様のご参加を実行委員一同、心からお待ち申し上げております。