顕微鏡 第43巻▶第3号 2008
■SEMにおける信号検出と像コントラストの違い

入射電子の試料内振る舞い(シミュレーション)からみたSEM画像

石谷亨

a(株)日立ハイテクノロジーズ 研究開発本部

要旨:SEM像観察において,二次電子(SE)および後方散乱電子(BSE)は試料表面の凹凸および元素の情報をもたらす.ここでは,SEおよびBSE信号の特質についてシミュレーションによる入射電子の試料内振る舞いの観点から概説する.低エネルギー(数100eV以下)電子照射では,入射電子の直進性が弱く,その振る舞い領域の大部分がSE脱出最大深さ(約10nm)の表面層内に収まるようになる.その結果,SE/BSE像は試料最表面層により敏感となり,また低エネルギーBSEの特質は高エネルギーSEに近くなる.SE/BSE像取得条件の調整は,試料における所望の情報を明瞭に得るために重要である.

キーワード:走査電子顕微鏡,二次電子,後方散乱電子

本文PDF