顕微鏡 第43巻▶第4号 2008
■特集:超高圧電子顕微鏡の医生物科学への応用

超高圧電子顕微鏡を用いた生物試料観察の基礎と応用

小澤一史a,b

a日本医科大学大学院医学研究科生体制御形態科学分野
b大阪大学超高圧電子顕微鏡センター

要旨:超高圧電子顕微鏡を用いて生物試料の微細構造を立体的に観察する有用性を示す.構造が複雑な展開を示すもの,方向性が不鮮明な不整形の構造などの観察には大きな力を発揮することが考えられる.これまでの,よく用いられてきたステレオ観察に加え,近年ではトモグラフィー観察の技術も進み,微細構造の三次元化が容易に出来るようになりつつある.従って,超微細構造を局所的観察で考察することから,微細構造の全体像を捉えることが出来るようになりつつある.ユニークなアイデアの惹起によって,超高圧電子顕微鏡が生物試料観察に,さらに大きな手助けを示す可能性が示唆される.これまで我々が行ってきた,神経細胞,神経膠細胞の機能形態学的変化を,超高圧電子顕微鏡を用いて解析するデータも示しながら,実際の有用性について説明する.

キーワード:超高圧電子顕微鏡,三次元観察,トモグラフィー,神経細胞,神経膠細胞

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