顕微鏡 第43巻▶第4号 2008
■特集:超高圧電子顕微鏡の医生物科学への応用

超高圧電子顕微鏡による嗅球のニューロンとグリアの三次元構造解析

樋田一徳a,清蔭恵美a,b,有井達夫c

a川崎医科大学解剖学
bDepartment of Anatomy and Neurobiology, School of Medicine, University of Maryland Baltimore
c自然科学研究機構生理学研究所脳機能計測センター形態情報解析室

要旨:超高圧電子顕微鏡の医学生物学領域への応用の最大の利点は,高エネルギー電子線による厚い切片の観察にある.更に厚い試料を傾斜して連続的な透過像をコンピューター画像処理することにより,切片内に埋もれている内部構造を高解像レベルで立体的に解析できる.この三次元トモグラフィー解析法は,通常の透過型電子顕微鏡の連続切片解析再構築法とともに脳内のニューロンやグリアの複雑な構造を理解するために極めて有効な解析手法である.本稿では超高圧電子顕微鏡の概要を筆者らの具体的な解析例とともに紹介し,その有用性と将来の可能性について論じたい.

キーワード:超高圧電子顕微鏡,嗅球,ニューロン,グリア,トモグラフィー

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