走査型電子顕微鏡によるゴルジ装置の形態解析
a新潟大学大学院医歯学総合研究科顕微解剖学分野
要旨:精巣上体管主細胞,性腺刺激ホルモン産生細胞,脊髄神経節細胞のゴルジ装置の三次元立体微細構造を,オスミウム浸軟した組織を用いて走査型電子顕微鏡で観察した.精巣上体管細胞のゴルジ装置は,扁平なゴルジ層板がシス側を外側にして重なり,全体で火焔状もしくは,コップ状をしていた.一方,性腺刺激ホルモン産生細胞では,ゴルジ層板が同心円状に積み重なり,全体でシス側を外側にした球状のゴルジ装置を形成していた.また,脊髄神経節細胞では,小さいゴルジ層板の重なりが細胞質内に多数分散していた.いずれの細胞のゴルジ装置も,シス最表槽は扁平な板状の槽からなり,その表面には多数の小さな孔があいていたが,トランス最表槽の構造は細胞の種類によって様々で,管状と板状の槽の多様な組み合わせでできていた.なお,トランス最表槽は,しばしば粗面小胞体と接していたが,両者間に直接的なつながりはみられなかった.
キーワード:走査型電子顕微鏡,ゴルジ装置,立体微細構造,シス最表槽,トランス最表槽