有機材料・触媒材料に対するTEM技術の活用
a株式会社東レリサーチセンター
要旨:最近の透過型電子顕微鏡装置の進歩に伴い,多様化・複雑化・極小化が進む先端工業材料に対する日常のTEM評価も,単なる観察に留まらず,EELS法などを用いた組成や状態分析を駆使できるようになってきた.しかしながら,特に高分子や生体材料などの,いわゆるソフトマテリアル,及びそれらの複合材料に対しては,試料作製や染色などの前処理技術,電子線損傷対策など,TEM装置の進歩に伴う周辺技術への課題も多い.本稿では,企業の評価室や分析センターにおける,高分子材料や有機系複合材料や触媒材料などの評価の現状について,TEM前処理法や電子線トモグラフィ法を用いた定量解析事例などを紹介し,課題や今後の期待について述べる.
キーワード:ソフトマテリアル,電子染色,EELS,燃料電池触媒,電子線トモグラフィー