顕微鏡 第44巻▶第1号 2009
■最近の研究と技術

ペプチドグリカン層をもつ葉緑体であるシアネレの分裂とFtsZリング形成

佐藤繭子a,豊岡公徳a,平田愛子b,南雲保c,河野重行b

a理化学研究所・植物科学研究センター
b東京大学大学院・新領域創成科学研究科
c日本歯科大学・生命歯学部

要旨:灰色藻の葉緑体(シアネレ)は,二重包膜にペプチドグリカン層をもち,原始的な特徴を残している.シアネレの分裂様式を明らかにするため,原核生物の細胞分裂タンパク質FtsZの動態を間接蛍光抗体染色法で調べ,走査電顕と透過電顕を用いて微細構造を観察した.シアネレでは他の植物の分裂機構とは異なり,シアネレの外側からの力ではなく,ペプチドグリカン隔壁形成にともなうシアネレ内側で発生する力が分裂の原動力となっている.

キーワード:シアネレ,ペプチドグリカン,葉緑体分裂,FtsZ

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