顕微鏡 第44巻▶第2号 2009
■特集:生体高分子の高分解能構造解析

イネ萎縮ウイルスのライフサイクルにおける超分子複合体の解析

岩崎憲治a,b,宮崎直幸a,b,片山寿美枝a,大村敏博c

a大阪大学・蛋白質研究所
bCREST
c中央農業総合研究センター

要旨:イネ萎縮病は,ツマグロヨコバイやイナズマヨコバイの媒介によって,イネ萎縮ウイルスがイネ科の植物に感染することで発病する.昆虫においても植物においても増殖するこのウイルスは,外殻と内殻からなる正二十面体構造をしている.我々は,外殻を構成するキャプシドからチューブ状結晶を作製することに成功し,その解析から外殻のもつ機能を提唱することができた.また,昆虫細胞間でのウイルス移行の機構についても,ウイルスの蛋白質が感染細胞で作るチューブ状の構造物の電顕イメージングにより,その機構解明に迫ることができた.これ以外にもイネ萎縮ウイルスは,そのライフサイクルにおいて,自身のRNAがコードする蛋白質を使って様々な超分子複合体を宿主細胞に形成する.分子・細胞生物学や生化学との連携により電顕イメージングが有効に活用できる例として本特集にて紹介する.

キーワード:電子線トモグラフィー,イネ萎縮ウイルス,RDV,結晶構造解析

本文PDF