顕微鏡 第44巻▶第2号 2009
■解説

スピン電子顕微鏡の実用化をめざして

中西彊

a名古屋大学理学研究科

要旨:NEA表面放出機構を用いて電子を真空中へ取り出すGaAsフォトカソード型電子源はスピン偏極ビーム生成を可能とするなど幾つかの魅力的な能力を持つ電子源である.この偏極ビームを電子顕微鏡分野の研究者に利用して欲しいと願う立場から,ユーザーが知っておくべき基本的性能(偏極度,量子効率,電流密度,輝度,エネルギー分解能,運転持続時間など)についてその到達点と今後の可能性について解説する.最後に新型偏極電子源により磁性薄膜形成過程のスピンLEEM画像(磁区構造)の実時間観察が可能となった例を紹介した.

キーワード:スピン偏極電子ビーム,偏極電子源,偏極度,輝度,NEA表面

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