顕微鏡 第44巻▶第3号 2009
■講座

嗅球の神経ステロイド

清蔭恵美a,樋田一徳a,山本登志子b,石村和敬c

a川崎医科大学解剖学
b岡山県立大学保健福祉学部栄養学科
c徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部顕微解剖学分野

要旨:副腎・性腺などの末梢器官とは独立して中枢神経系でde novo合成されるステロイド物質は神経ステロイドと呼ばれ,神経機能の調整と維持に関わっていると考えられているが,その存在意義は未だ十分明らかになっていない.このため我々は神経ステロイドを合成する酵素に着目し,その局在を解析している.本稿ではステロイド合成酵素のうちtestosteroneやprogesteroneを還元する酵素である5α-reductaseの嗅球における局在についての解析結果を紹介し,神経ステロイドの存在意義を合成酵素の点から考えてみたい.

キーワード:神経ステロイド,5α-reductase,グリア,嗅球

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