顕微鏡 第44巻▶第4号 2009
■最近の研究と技術

水晶体上皮における増殖領域と組織幹細胞の同定
―新しい固定液を用いた良好な組織切片による解析―

山本直樹

藤田保健衛生大学共同利用研究施設分子生物学・組織化学研究室

要旨:これまで水晶体組織標本の作製は困難であったが,新しい固定原理に基づき開発した固定液を使用することでアーティファクトの少ない良好な水晶体標本が作製できるようになった.マウス水晶体上皮細胞(LEC)の増殖領域と組織幹細胞は,既報の領域よりも赤道部に近い領域に存在していた.また,領域の異なるLECの増殖能を培養条件下で検証したところ,いずれの領域のLECにおいても速やかに増殖が開始されることがわかった.

キーワード:水晶体上皮細胞,組織幹細胞,細胞周期,p75 neurotrophin receptor(p75NTR),新しい固定液

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