顕微鏡 第45巻▶第2号 2010
■オートファジー;形態学と分子生物学の融合

酵母のマイトファジー,~観察からの始まり~

岡本徳子,岡本浩二,大隅良典

大阪大学大学院生命機能研究科ミトコンドリア動態学研究室
東京工業大学フロンティア研究機構

要旨:ミトコンドリアは,構造と機能の恒常性を維持するための様々な品質管理システムを備えている.その中の一つとして,ミトコンドリアを丸ごと除去する経路の存在が提唱され,それがオートファジーの仕組みを利用したものであることが最近示唆されてきた.著者らは,栄養飢餓によって誘導され,細胞質構成成分をバルク分解するオートファジーとは別の観点から,ミトコンドリアを選択的に除去する現象,「マイトファジー」を,酵母をモデルとした電子顕微鏡解析により明らかにした.また,蛍光顕微鏡を用いたアッセイ系を確立し網羅的可視化スクリーニングを行うことで,マイトファジーの鍵となるタンパク質Atg32を発見した.

キーワード:オートファジー,ミトコンドリア,酵母,品質管理,酸化ストレス

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