顕微鏡 第45巻▶第2号 2010
■解説

筋紡錘の神経支配

出崎順三

愛媛大学大学院医学系研究科統合医科学講座

要旨:哺乳類の筋紡錘を構成する錘内筋線維には通常,核袋線維と核鎖線維の二種類があり,両者とも知覚および運動神経の二重支配を受けている.核袋線維は,赤道部で知覚(一次)終末,傍赤道部から極部にかけては運動終末によって支配され,一方,核鎖線維は,赤道部から極部にかけての広い範囲で知覚(一次および二次)終末,そして極部においては運動終末によって支配されているようである.知覚終末は一般的に筋線維を環状あるいはラセン状に取り巻く環ラセン終末を形成するが,マーモセット等の内喉頭筋では,知覚終末は環ラセン状を呈さず,しばしば筋内に深く侵入し筋内終末を形成する.これら知覚終末および運動終末以外に,ハムスター筋紡錘の錘内筋線維は,時折,自律神経微細構造の特徴を有する多軸索終末によって支配されている.このように筋紡錘を支配する神経の分類や分布と機能との関係は興味あるところであり,今後の研究に委ねたい.

キーワード:核袋線維,核鎖線維,知覚終末,運動終末,電子顕微鏡

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