顕微鏡 第45巻▶第4号 2010
■講座

CCDの原理と透過型電子顕微鏡への応用

木村吉秀

大阪大学大学院工学研究科

要旨:CCD検出器は,光子1個の検出にせまる高感度と低ノイズ性があり,出力信号が光強度に比例する直線性の良さを持ち合わせている.顕微鏡や天体望遠鏡,民生品の動画や静止画撮影に広く使われている.CCDはCharge Coupled Deviceの略語で,電荷を転送する方式を表すのが本来の意味であるが,現在ではCCDを用いた撮像素子を単にCCDと言うようになっている.半導体中で光により電子正孔対が生成され,この電荷をCCD電荷転送という方式で外部に取り出すことにより画像信号を得る撮像素子である.光以外に,X線や電子線によって電荷生成することができるため,透過型電子顕微鏡において直接電子を照射して画像を得ることも可能である.本講座ではCCDの動作原理と構造について説明し,透過型電子顕微鏡において電子を直接検出した場合の様子について述べる.

キーワード:CCD,電荷転送,撮像素子,透過型電子顕微鏡,単電子検出

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