顕微鏡 第46巻▶第1号 2011
■解説

次世代再生医療としての歯の再生

小川美帆a,大島正充b,辻孝a,b,c

a(株)オーガンテクノロジーズ
b東京理科大学・総合研究機構
c東京理科大学・基礎工学研究科

要旨:21世紀の医療システムとして再生医療が期待されている.再生医療は幹・前駆細胞を傷害部位に移入する移植療法から臨床応用化研究が始まりつつある.さらに次世代の再生医療として,機能を喪失した臓器・器官を人為的に創り出した再生器官と置き換える「臓器置換再生医療」の開発が期待されている.歯科領域は,ブリッジやインプラントなど歯の喪失に対する人工的な治療法が確立しており,さらに喪失した歯を再生した歯により取り戻す「歯の再生治療」に向けた研究が,他の器官に先駆けて進められている.本稿では歯科再生医療の研究開発戦略を概説すると共に,私たちの研究成果を中心に歯科再生治療の現状と課題を解説する.

キーワード:歯科再生医療,器官原基法,臓器置換再生療法,再生歯胚,細胞操作技術

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