顕微鏡 第47巻▶第1号 2012
■講座

CEMOVIS試料作製法

岩崎憲治a,b,宮崎直幸a,b,伊藤喜子b,c,高木淳一

大阪大学蛋白質研究所
CREST, JST
ライカマイクロシスムズ(株)

要旨:CEMOVISは,液体に近いガラス状の氷に細胞や組織等の厚い試料を固定し,そのまま冷却ガス窒素雰囲気中で超薄切片を作製する技術である.樹脂切片のように架橋・脱水・染色を行わないため,それにともなう微細構造の破壊や,構成分子の流出が起きない.尚かつ水和した状態の試料を観察できるので,より生きている状態に近い細胞・組織観察が期待できる.一方で,新しい方法ゆえにアーティファクトに対する検証も続いている.本講座では,CEMOVISの手順と必要な道具,その利点とアーティファクトの詳細,それらを考慮した上でのCEMOVISの利用方法を紹介する.

キーワード:CEMOVIS,非晶質,クライオ,加圧凍結

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