顕微鏡 第48巻▶第3号 2013
■講座

Pd/ZnO極性界面のHRTEM・EELSに基づく構造評価と第一原理電子状態計算

坂口紀史,渡辺圭,國貞雄治

北海道大学大学院工学研究院附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センター

要旨:Pd/ZnO極性界面原子構造と結合状態をHRTEM,EELS,ならびに第一原理電子状態計算により解析した.Pd/ZnO界面における終端元素はZnO結晶の向きによって異なり,(1-11)Pd//(0002)ZnO極性界面は亜鉛終端,(1-11)Pd//(000-2)ZnO極性界面は酸素終端面が現れた.極性界面における酸素K吸収端ELNESの解析より,酸素終端界面ではスペクトル形状に変化が見られ,主ピークより低エネルギー側にプリエッヂショルダーが出現した.第一原理電子状態計算による解析により,酸素終端界面ではPdから酸素への電子移動が生じていること,Pdと酸素の間でp-d軌道混成による共有結合が形成されていることが示された.また,ELNESにおけるプリエッヂショルダーの起源は界面でのPdと酸素の共有結合を反映したピークであることが明らかとなった.

キーワード:極性界面,終端原子,界面結合状態,電子状態密度,ELNES

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