顕微鏡 第49巻▶第2号 2014
■解説

単粒子解析法で迫るDNA複製フォーク複合体の機能構造連関

真柳浩太

九州大学生体防御医学研究所
科学技術振興機構,さきがけ

要旨:全ての生命の遺伝情報の継承の根幹をなすDNAの複製には,多数の蛋白質因子が関わり,レプリソームと呼ばれる巨大な超分子複合体を形成し,綿密な制御を通じてその機能を発揮している.電子顕微鏡による単粒子解析は,このような複雑で結晶構造解析が困難な系の解析に最適である.我々はDNAの複製の中枢であるレプリソームの中で重要な役割を担うDNAポリメラーゼやDNAリガーゼと,基盤分子PCNAそしてDNAから構成される複合体の解析を行い,結晶構造解析からは知り得なかった因子間の相互作用を新たに見いだした.その結果をもとにレプリソームを構成する因子の制御機構,複合体の再編機構を考察した.

キーワード:単粒子解析,クランプ,DNA複製,複製フォーク,超分子複合体

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