免疫組織化学を考える:抗原の賦活化・樹脂包埋試料の免疫電顕
慶應義塾大学医学部病理学教室
要旨:近年ではホルムアルデヒド固定によって形成された架橋を加熱によって切断し,エピトープ(抗原決定基)を露出させる抗原賦活化法が免疫組織化学に多用され,抗原の立体構造を保存することが重要であるとの従来の考えを一変させている.本稿では免疫組織化学における固定,加熱によるエピトープの露出のメカニズム,アクリル樹脂包埋およびグルタルアルデヒド・四酸化オスミウム固定・エポン包埋試料の抗原賦活化を利用した免疫電顕への応用について述べる.さらに免疫組織化学において,各抗体とエピトープの最適な反応条件の選択の重要性について紹介する.
キーワード:抗原賦活化,免疫電顕,LR-White樹脂包埋,エポン樹脂包埋,抗体の希釈溶液