顕微鏡 第51巻▶第3号 2016
■特集:植物形態研究の最前線

植物の透明化技術TOMEI

坂本勇貴,松永幸大a,b

東京理科大学研究推進機構総合研究院イメージングフロンティアセンター
東京理科大学理工学部応用生物科学科

要旨:透明化技術は顕微鏡で試料の深部を観察する際になくてはならない技術である.動物の脳を透明化するための技術“Scale”の開発を皮切りに動物組織に対する透明化技術が劇的に進展した.植物においても複数のグループから蛍光タンパク質の蛍光を保持したまま透明化できる方法が報告されてきたが,どの方法も数日から数週間の時間がかかり,ハイスループットな解析には適していなかった.我々が開発した植物の透明化技術“TOMEI(Transparent plant Organ MEthod for Imaging)”は6時間以内に試料を透明化し,数百マイクロメートルの深部の観察を可能にした.TOMEIを利用することで,シロイヌナズナの葉,蕾,根,根こぶ,イネの葉の深部観察が可能となり,蛍光輝度の定量化も可能であることを示した.

キーワード:透明化技術,TDE,TOMEI,植物組織

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