顕微鏡 第52巻▶第1号 2017
■学会賞(瀬藤賞)受賞論文

透過電子顕微鏡法による照射誘起構造変化の解析

石丸学

九州工業大学大学院工学研究院物質工学研究系

要旨:照射場を利用した材料創製では,通常の手法では得ることが難しい平衡状態から離れた準安定構造を実現することが出来る.また,機能性材料および構造用材料の照射誘起構造変化に関する研究は,宇宙空間や原子炉等の極限環境下で使用される材料の信頼性を知る上で重要である.本稿では,照射場と材料の相互作用による構造変化およびそれを利用した材料創製に関する最近の研究成果について報告する.準安定構造の形成に関しては,イオン照射アルミナの熱処理過程において見出された,通常の熱処理では起こらないコランダム→スピネル型構造相変態について報告する.一方,耐照射性材料の開発に関する一連の研究では,ナノ構造制御により炭化ケイ素の耐照射性を向上させた例について紹介する.

キーワード:照射損傷,相変態,準安定相,アモルファス

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