顕微鏡 第52巻▶第1号 2017
■講座

回腸吸収上皮細胞の形態および機能の変化

馬場良子,國分啓司,森本景之,藤田守

産業医科大学医学部第2解剖学

要旨:吸収上皮細胞は小腸絨毛上皮の大部分を占め,腸管腔からの栄養や水分吸収において中心的役割を担う.小腸だけでなく,大腸にも同名の細胞が存在し,いずれも形態的に類似するが,管腔から吸収する栄養の種類や管腔側へのIgAの分泌の有無など,細胞が存在する部位によって異なる機能を営む.乳飲期の齧歯類では,機能面だけでなく,部位によって異なる形態的特徴を有する吸収上皮細胞が存在する.しかし,離乳を境に,吸収上皮細胞の形態的差異は消失する.本稿では特に,乳飲期齧歯類の回腸に存在する吸収上皮細胞に着目し,その時期による形態および機能の変化について,また,オルガノイド培養法で得られた吸収上皮細胞の超微形態について紹介したい.

キーワード:乳飲期,回腸,吸収上皮細胞,エンドサイトーシス,オルガノイド

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