電子レンズの設計技術(後篇)(基礎理論から実装技術,装置応用まで)
a(株)日立ハイテクノロジーズ
b米澤電子技研
要旨:電子レンズの設計技術について2回に分けて概説している.前篇では光学設計の基礎を解説し,高分解能SEMに用いられる対物レンズは短焦点化によって低収差化が進んだことを示した.短焦点化にはリターディングやブースティングなどの電界磁界重畳レンズが有効であることを学んだ.後篇(本講座)では電界磁界重畳レンズの設計シミュレーション手順と具体的な最適化の例を冒頭で解説する.後半は最も多用される磁界レンズの実装に必要な技術についてまとめる.所望の焦点距離,分解能を得る短焦点磁界レンズを設計,作製するには,磁界レンズ間隙付近以外の鉄部で磁気飽和しない磁気回路,および非軸対称な磁界を極力小さく抑える磁界レンズの加工,組立が重要である.短焦点磁界レンズの例として,TEMにおける超高分解能対物レンズ,およびSEMにおける単極レンズを紹介する.
キーワード:収差,シミュレーション,磁気回路,磁束密度,磁気飽和