顕微鏡 第43巻▶第2号 2008
■解説

HAADF-STEMとHRTEMによるMg-RE(RE:希土類金属)合金の析出物の構造

平賀賢二,西嶋雅彦

東北大学金属材料研究所

要旨:顕著な時効析出硬化を示すことから工業的に注目されているMg-RE(RE:希土類金属)合金は,古くから多くの研究がなされ,電子回折法やTEMおよびHRTEMによる析出物の結晶構造や微細組織の報告がなされてきた.しかしそれらの報告には多くの疑問が残ることから,HAADF-STEMとHRTEMを併用してMg-RE合金中に形成される微細整合析出物の研究を進めてきた.本論文は,Mg-RE合金のRE原子の直接観察を可能としたHAADF-STEM法の威力と,HRTEMとの併用による微細整合析出物やGPゾーンの結晶構造や微細組織の詳細な解析結果を纏めたものである.特にHAADF-STEMとHRTEMの併用という研究手法の大切さを紹介する.

キーワード:HAADF-STEM,HRTEM,マグネシュムー希土類合金,析出物,結晶構造

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