顕微鏡 第43巻▶第3号 2008
■講座

TEM像の解釈(Ⅱ)

今野豊彦

a東北大学金属材料研究所

要旨:透過電子顕微鏡(TEM)はいくつものレンズが組み合わさることにより,ビームを収束させたり回折パターンを得るという観察者にとっては必須の自由度を有している.まず本稿では前回述べた幾何光学に基づいたレンズ作用を2レンズ系に発展させることによりその動作原理を理解するとともに,それによってもたらされるいくつかの簡単な応用例に触れる.次に対物レンズの収差補正が可能になった結果,前回述べた位相コントラストトランスファー関数が与える分解能に対して,色収差によって定まる情報限界そのものが分解能を定めること,さらに今後は適切なディフォーカス量の選択がコントラストと分解能の両立という観点から必要になることに触れる.

キーワード:透過電子顕微鏡(TEM),2レンズ系,収束電子回折,収差補正

本文PDF