顕微鏡 第43巻▶第3号 2008
■最近の研究と技術

ラット膨大後皮質の線維結合

柴田秀史

a東京農工大学大学院共生科学技術研究院獣医解剖学研究室

要旨:膨大後皮質(RS)は,大脳半球内側面に存在する帯状回の尾側部を占める領域である.本稿では,ラットRSの神経線維結合を,皮質皮質結合を中心に解説した.RSは前頭葉,頭頂葉,後頭葉,海馬後皮質と強く相互に線維結合し,RS内の小領域どうしも相互に結合する.さらに,RSは線条体,視床といった皮質下領域とも結合する.以上の線維結合は,RSが空間情報の処理を行う神経回路網の一部を構成することを示すと考えられる.

キーワード:帯状皮質,皮質皮質結合,内在性結合,空間記憶

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