顕微鏡 第43巻▶第4号 2008
■解説

脳腫瘍病理診断のための電子顕微鏡学貢献

河本圭司,大石哲也,大重英行,川口琢也,瀬野敏孝,甄云波,李一,龍新兵

a関西医科大学脳神経外科

要旨:電子顕微鏡は1930年代にvon Ardenneにより開発されて以来,器械,染色法,ミクロトームの開発,改良により,形態学の発展に大きく発展してきた.脳腫瘍の微細構造の解明,診断にも貢献してきた.その後,脳腫瘍の新しい発見にも寄与してきた.脳腫瘍の形態学における電子顕微鏡の役割として,①脳腫瘍の超微細構造より,その特徴を把握できる,②光顕では鑑別が困難な腫瘍に有用である,③病理組織診断に高い診断価値がある,④腫瘍の悪性度,分化,機能などの検索にも有用である.これらの中でも電顕は形態学による超微細構造が明確になることから,形態学,病理診断学に大きな貢献をしており,電顕により今後新しい発見も追加されていくことであろうと考えられる.

キーワード:脳腫瘍,電子顕微鏡,微細構造,グリオーマ,髄膜腫

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