顕微鏡 第44巻▶第4号 2009
■最近の研究と技術

マイクロカロリメータEDSを搭載した分析電顕の開発
―現状と今後の展開―

原徹a,田中啓一b,前畑京介c,満田和久d,山崎典子d,大崎光明e,大田繁正e,渡邉克晃a,于秀珍a,山中良浩f,伊藤琢司f

a独立行政法人 物質・材料研究機構ナノ計測センター
bエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社
c九州大学大学院工学研究院エネルギー量子工学部門
d独立行政法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部
e日本電子株式会社
f大陽日酸株式会社

要旨:透過型電子顕微鏡(TEM)におけるEDS分析のエネルギー分解能を大幅に向上させることを目的として,超伝導遷移端センサ型マイクロカロリメータをTEMに搭載した分析電顕を開発した.実験機として単素子検出器を無冷媒式冷凍機で駆動する検出器を製作し,現在,TEMの性能を損なわずにシリコンKα線の半値幅として7.6eVを達成しており,多くの近接したピークを分離した測定が可能になっている.

キーワード:マイクロカロリメータ,超伝導遷移端センサ,透過型電子顕微鏡,高エネルギー分解能,EDS

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